第1章 効果がさだかでない
●感染してもほとんど発病しない
子宮頸がんの原因と目されているのは、「ヒトパピローマウィルス(=HPV)」だ。 これはありふれたウィルスで、性交によって感染する。性交経験のある女性の半数以上が、一生に一度はこのウィルスに感染するという。 しかし、感染しても9割のケースでは免疫力によってウィルスが自然に排除される。 残りの1割のケースで感染が持続し、さらにその1割が前癌病変に進み、さらにその1~2割ががんになる、と言われている。 つまり、1000人がウィルスに感染してもがんにまで進むのは、わずか1人か2人に過ぎない。 特に恐ろしいウィルスというわけでは決してないんだよ。
●予防できるのは5~6割だけ
「子宮頸がんワクチン」とか「子宮頸がん予防ワクチン」と聞くと、ワクチンを打てば子宮頸がんの発病が100%予防できそうな印象をうける。原因となるヒトパピローマウィルスの感染も100%h防げそうな気がするよね。けれども、ヒトパピローマウイルスには100種類以上あり、子宮頸がんを引き起こす可能性の高いハイリスクタイプのものだけでも15種類もある。
一方、ワクチンによって感染を予防できるのは、そのうちわずか2種類だけ。16型と18型だ。海外ではこの2種類が、70%の子宮頸がんの発生に関わっているという。しかし日本ではこの2種類の割合はもっと低いとされていて、今もっとも信頼できる研究では、50%だという。
日本で子宮頸がんから検出されるヒトパピローマウィルスの型
つまりワクチンの効果は最大限に見積もっても、16型と18型の感染を予防し、子宮頸がんになる確率を半分に減らすだけなんだ。
子宮頸がんを予防できないものを「子宮頸がん予防ワクチン」と呼ぶことに対して、厚生労働省もさすがに気が引けてきたと見え、2013年3月から公式文書の中では「子宮頸がん」予防ワクチンでなく「ヒトパピローマウィルス感染症」予防接種と呼び始めたよ。
この本でもここからはより正確に、ヒトパピローマウイルスワクチンと呼ぶことにしよう。
(参考:予防接種法の一部を改正する法律の施行等について)
●いつまで効くかわからない
しかも、その16型と18型の感染を予防できるといっても、一生予防できるわけではない。予防効果が確認できた期間は、最長9.4年に過ぎない。このことは製薬会社自身もはっきりと認めている。グラクソ・スミスクライン社のサーバリックスの添付文書にはこう書いてある。
「現在までに1回目接種後、最長9.4年間(平均追跡期間約8.9年)までの予防効果が持続することが確認されている」
「HPV-16型及び18型以外の癌原性HPV感染に起因する子宮頸がん及びその前駆病変の予防効果は確認されていない」
「本剤の予防効果の持続期間は確立していない」
「抗体価と長期間にわたる感染の予防効果及び子宮頸癌とその前駆病変の予防効果との相関性については現時点では明確ではない」
(出典:サーバリックス添付文書2013年3月改定《第6版》)
つまり、
ということだ。
効果があるかどうかわからない、ということをメーカー自身が認めざるを得ない、そんな代物なんだ。
●効果があるという証拠はない
「HPVワクチンを接種した集団において子宮頸がんが減少するという効果が期待されるものの、実際に達成されたという証拠は未だない」と厚労省自身も認めている。
つまり、実験のために接種するようなものなんだ。それが「勧奨」に値するとはとても思えない。
●がんになるメカニズムは不明
そもそも、HPVが子宮頸がんの原因である、という説もどこまで本当なのかわからない。
下の表を見てみてほしい。
子宮頸がんによる未成年の死亡者数(1958~1968)
性交によるヒトパピローマウイルスの感染だけが原因で子宮頸がんになるのだとしたら、4歳以下の子どもが子宮頸がんで死亡している事実をどう説明できるというんだい?
「HPV感染だけでは発癌しないことも知られており、発癌に関与する他の因子、例えば喫煙やそのほかの微生物感染などの環境因子が癌化に及ぼす影響についても」研究している、と慶應義塾大学産婦人科学教室のホームページにも記されているよ。